乾いたフェーン-力学説
ハンはまず前者の非断熱加熱説を研究したとされるが、その後ハンは、風上側で水蒸気の凝結を伴う断熱変化が起こらなくても、フェーン現象は十分起こりうるということを考え出した。あまり厳密な説明ではないが、これは次のような事柄である。今、湿ったフェーンが起こったときと全く同じ状態の例を考える。A地点の気温は15℃だが、この空気は上昇せずに、そこにとどまっているとする。また、空気の平均的な気温減率は約0.6℃/100mなので、これに従うとその時の山頂の温度は9℃ということになる。この山頂の空気が乾燥しているとすると、B地点に下降気流として下りてきたときの温度は乾燥断熱減率より19℃ということになる。よってA地点の空気よりもB地点の方が高いのでフェーン現象が起きたということになるのだ。これはもとから乾いた空気が力学的にフェーンを起こしたという意味で乾いたフェーンと呼ばれる。空気が山を登り、その後空気が重くなって吹き降ろすことは明らかだが、流体力学では空気が単に地面と平行に移動していて、山の頂上付近にさしかかると、風の速さによってはその空気が下降気流となって下降してしまうことが知られている。これが乾いたフェーンを起こす原因ともなる。
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